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明日の子供たち|有川浩

実は、有川作品(エッセーは除く)の感想書くの初めてなんですね。

児童養護施設を舞台にした物語。主人公は慎平ちゃんと子どもたちに呼ばれる新米職員です。 

明日の子供たち (幻冬舎文庫)

明日の子供たち (幻冬舎文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 文庫
 

有川作品の王道だな、というのが読み終わって最初の感想。

まず、児童養護施設について書くにあたって、相当取材をしたことが伝わってきます。自衛隊三部作を書くのに、自衛隊を取材したのと同じように。私はてっきり自衛隊マニアなんだと思ってしまいましたから。それくらいの取材力だと思います。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、最後に、この有川さんの取材力が狙われていたということが明らかになります。。

そして、入所者の高3の男の子が防衛大への進学or自衛隊への入隊を希望している―いや~、実際に自衛隊に進む子どももいるということかもしれないけど、有川作品にはやっぱり自衛隊が出てくるんだな、と少しうれしくなってしまいまいました。

加えて、慎平と指導職員である和泉先生、そして和泉先生と高校の同級生だった男性の微妙な三角関係に、いつ付き合ってもおかしくなさそうだけど決して付き合わない高校生の男女・・・とキュンとなるような恋愛要素を入れてくる、これもまさに有川作品ですね。

児童養護施設が舞台と聞いて、最初は深刻な話なのかな、と思っていましたが、そんなことは全くなく。つまり、私自身も児童養護施設について偏見を持っていたということなんだろうな、と思いました。児童養護施設の実情を世の中に知ってほしいという、この作品の狙い通りかもしれません。

猪俣先生という、見た目が陰気だけど、信頼が厚くて人気も高い男性職員がいい味を出していましたね。本当にこういったキャラクター設定はさすがだと思います。ちなみに私が一番感動したのは、この猪俣先生のエピソードでした。