角田光代さんの短編集。過去の短編を集めたものだそうです。
こちらも、先日の『人生ベストテン』と少し似た感じで、悩みを抱えた登場人物が多く出てきました・・・が、この『ロック母』の登場人物の悩みというのは、異彩を放つものが多いような。
ということで、表題にもなっている『ロック母』は、実家の島で暮らす母が、家事などを一切投げ出し、主人公が高校生の頃に聞いていたロックを大音量で聴くようになっていたという話。う〜む、ありそうでなさそう。
ただ、不思議と目を背けたくなるようなものではなかったんですよね。実際に自分の身に起こらなさそうという設定もあるのかもしれませんが。そしてなぜか最後はすっきりとさせられる、決してハッピーエンドではないのに・・・
ということで、ちょっとクセになりそうな話が多いなと思いました。逆に心を落ち着かせたいときに読みたい感じ。
上海の話とか、瀬戸内海の島の話とか坂の上の家の話とか、角田さんの他の作品を思い起こさせる設定が多かったのも興味深かったですね~。
角田さんは短編がいいなとかねてから思っていたのですが、あとがきを読んだらご本人もいい短編を書きたい、と短編にこだわりを持っているようでした。納得。