sora fuku kaze

読んだ本やホークスの話、その他日々の出来事について

きつねのはなし|森見登美彦

本当に森見登美彦さんの本を読んでいると、よくこんな世界観を作り上げられるな、と感心してしまいます。

ということで、こちらも幻想的な世界の広がる短編集。舞台は京都で、登場人物も一般人と言えば一般人ではあるのですが・・・。『きつねのはなし』というタイトルのとおり、「きつねのような獣(胴が長くて歯を見せて笑う)」がどの話にも共通して出てきます。

これが本を読みながら想像すると、また気持ち悪くてですね(笑)。私の中ではすごくヌボッとした生き物になっていました。うわっ、また出てきた、みたいなそんな感じです。

そして何がすごいって、最後までタネ明かしがされないところですよね。あの生き物は何だったんだろうというモヤモヤ感。謎の獣以外も、それぞれの物語はモヤモヤとした感じで終わって。

もともとモヤモヤした話はそこまで好きではなかったと思うのですが、そこに引き込まれるまでの流れ、想像力をかき立てられる感じが面白いのでしょうね。モヤモヤで終わるのも、それはそれで気持ち良いから、何度も本をとってしまうのかもしれません。