sora fuku kaze

読んだ本やホークスの話、その他日々の出来事について

わたしの容れもの|角田光代

実は今年初めての角田さん。記事にするだけでなく、読むこと自体今年初めてみたいで、驚きです。

ということで角田さんのエッセイ。「わたしの容れもの」ということで、カラダ・健康について書かれています。

基本的に「中年」のカラダ・健康について書かれてるんですが、いやぁ書かれていることがよく分かる年齢になってきたかもしれません(笑)。去年とかでなく、今年読んでよかったかもしれませんね。

安心したことは、更年期はまだ先のような気がすること、老眼もまだ大丈夫なんじゃないかということ、あと白髪は一気に来るわけではないこと、あたりでしょうか。
白髪はちょうど最近話題にしたところだったんですが、メッシュでごまかせるということは、もともと髪の色が薄めで、白髪と言っても白髪に至らない程度の色の抜けた茶髪の目立ち始めた私(長い!)は、結構行けるんじゃないか、なんて思ってしまいました。

意外と50歳前後でも転倒が大変そうということが伝わってきて。個人的に、転倒を引きずった状態で毎日職場に行くのはちょっと恥ずかしいかな〜と思ってしまうので、足腰はしっかり鍛えておきたいと思います。

あなたは、誰かの大切な人|原田マハ

原田マハさんの短編集。Kindle Unlimitedで読みました。

女性が主人公の短編が全部で6編。原田マハさんの短編で女性が主人公というのは多い(ほとんど?)気がしますが、今回は舞台が海外の作品が3編。そこは何だか新鮮な感じがしました。

「波打ち際のふたり」(これは国内の話)は、短編集『さいはての彼女』にも出てきたハグとナガラのコンビの続きの話。・・・と思ったら、『さいはての彼女』の感想書いてないじゃん(笑)。
大学時代の友人、ハグとナガラが社会人になってから2人で定期的に旅をするという話です。『さいはての彼女』は表題の『さいはての彼女』でハーレーを乗り回すナギが印象的だとは思うんですが、個人的には定期的に旅行に行くという設定もあって、ハグとナガラの方が気になっていました。

どうやら調べてみたら、ハグとナガラはこの設定で短編集も出版されているみたいで。短編集から、『ハグとナガラ』に行き着いたみたいですね。こちらも読んでみたいと思いました。

 

タルト・タタンの夢|近藤史恵

小さなフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルを舞台にしたミステリー小説。

近藤史恵さんということで、食事を中心にしつつ、ミステリーが絡んでいく、という。『ときどき旅に出るカフェ』と同じタイプのストーリーではありましたね。

で、西島秀俊さん主演の『シェフは名探偵』の原作でもあるんですね。なるほど。ただ、個人的には三舟シェフはもう少し気難しいというか、何だか西島さんだとかっこよすぎるな、と思ってしまいました。

描かれているのはフレンチなので、和食か、せいぜい中華か、という感じの食生活を送っている私にはなかなかイメージがつかないものも多いのですが、毎回登場する「ヴァン・ショー」。これだけはさすがに覚えましたよ(笑)。ホットワインのことなんですね。

『シェフは名探偵』は番宣は見たことあるものの、実際のドラマ観たことがないので、一度観てみてもよいかなと思いました。三舟シェフのイメージも変わるかもしれません。

sky29wind.hatenablog.com

頭のいい人が話す前に考えていること|安達裕哉

最近、本屋でよく見かける(と思う)こちらの本。気になったので電子書籍で購入してみました。

で、読み進めていったんですが・・・なんか聞いたことある話だな。

 

そう、こちらの本と同じ著者の方だったんですね〜

sky29wind.hatenablog.com

ということで、1つ1つ比べたわけではないですが、主張は概ね似た感じ。「頭のいい人」という表現を使って惹きつけて、ちょっと角度を変えた、という感じもしなくはないかな。

もともとの本は高評価な私ですので、こちらの本も共感しながら読んだわけですが。ちょっとそれぞれの主張がどうなっているのか、見比べてみたいな、という気持ちにもさせられました。

黄色い家|川上未映子

こちらはですね、気になりすぎて文庫本が待てませんでした。基本的に小説は文庫本になるまで待つタイプなんですけどね。

ということで、楽天Koboで購入しました。基本的に単行本は買わなくて、気に入ったものだけ紙の本で買うタイプです。まぁ小説は文庫本で買うんですが・・・。

帯にも書いてあるとおり、テーマは「お金」。主人公がどんどん「お金」に巻き込まれていく様が描かれています。タイトルの「黄色い」も風水の金運アップから来ている「黄色」です。

これがネタバレになるかは分かりませんが、個人的には主人公は被害者のイメージで読み始めたんですが、気がつけば中心人物のようになっていて、自覚のないまま飲み込まれる様子に、「お金」の怖さを感じましたね。

そして、この生活、いつまで続くんだろうと思ったところで急展開。最後は一気に読み進めた感じでしょうか。特に「黄色い家」(実際に登場する)のインパクトは相当なものだろう、と思うと、映像化したものも見てみたい気持ちにさせられました。

52ヘルツのクジラたち|町田そのこ

本屋大賞受賞作、待望の(?)文庫化。ということで読んでみました。

ただ、こちらも、先日の『ライオンのおやつ』同様、ずっと「52ヘルツ?」「クジラ?」と思っていた作品です(笑)

町田そのこさんと言えば私は『コンビニ兄弟』なんですが、『コンビニ兄弟』と同じく九州が舞台。まぁ福岡県出身で、今も福岡にお住まいのようなので。『コンビニ兄弟』の舞台である北九州も出てきました。「チャチャタウン」は遠くから見て気になっていたので、こんなところに登場するのか!と思いましたが。

で、タイトルの「52ヘルツ」は「届かぬ声」という感じでしょうか。まぁ込められた意味の詳しいところは、実際に本を読んでみていただきたい(笑)。

ちょっと最近「家庭に訳ありの孤独な女性」(もちろんレベルはそれぞれ)が主人公の小説を読みすぎてるかな、という感はありますね。先日の『ライオンのおやつ』もそうだし、次に書こうとしているやつもそうだと思います。

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ライオンのおやつ|小川糸

タイトルも表紙もよく見かけていて、ただ、ずっと「ライオンのおやつ・・・?」という気持ちが拭えなかった本(笑)。
読んで、ようやく意味が分かりました。

「ライオン」というのは施設の名前(正確には「ライオンの家」)で、人生の最期を迎える人が集まる場所。で、その「ライオンの家」には入居者の思い出のおやつを出してくれる時間がある、だから「ライオンのおやつ」というわけですね。

小川糸さんは、原作は読んだことがないけど『食堂かたつむり』のイメージですかね。ということで、おやつも含め、食べ物がおいしそうに描かれています。

主人公は余命宣告された33歳の女性。瀬戸内海の島にある「ライオンの家」を訪れる、ということで、瀬戸内の様子も魅力的に描かれていたりします。と、瀬戸内出身の相方に伝えたら、「すごくデフォルメされている感じがする」と言っていましたが(笑)。穏やかで過ごしやすい気候ということなんだからいいじゃないか、と個人的には思っています。

歳を重ねてくると、本当に生きられる時間って人によって違うんだなと実感しますが、「死」をテーマにしながらも悲しさや深刻さを感じさせないというか。人生の最期も明るく前向きに描いている作品だなと思いました。