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ロストケア|葉真中顕

2月に行ってきた調布シネマフェスティバルで、前田哲監督の次回作として紹介されていた『ロストケア』。

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というか、シネマフェスティバルに行く前から、予告編を見て気になっていた『ロストケア』。
・・・結局映画は行けずじまいでした。というか、映画に行く前に原作を読もうという気持ちだったのですが、ようやくゴールデンウィークに原作を読むことができました。
※どうでもいいけど、原作も映画も「ロストケア」なのにアマゾンは「ロストケア」になっているのね。

この本を読んで、というか近藤史恵さんのあとがきを読んで「社会派ミステリー」と「本格ミステリー」と「社会派本格ミステリー」というものがある(?)と知ったのですが、社会派でありながら本格ミステリーの要素も含んでいたな、というのが読後の感想です。

映画はどう見ても松山ケンイチさんが犯人を演じているのですが(予告編に出ている、違っていたらびっくりする)、原作では誰が犯人なのか分からないまま進んでいきますからね。
そして、原作を読んで分かるのは、長澤まさみさんの演じている検事は原作では男性であるということ。人間関係とか男性ならでは感もあったので、映画ではどんな設定に変えられているのか気になるところ。

「社会派」という点では、介護問題に切り込んでいて、2013年に出版された本なのに世間の状況は変わっていない、というかむしろ進んでしまったのではないか、という感じすらありますね。この本に書いてあるとおり、「分かっていたはずなのに」という思いにさせられます。

映画の予告編を見たときは「42人の命を奪った殺人犯」ということでゾクッとする感じもあったのですが、原作は介護問題に焦点を当てていて、意外と抵抗なく読むことができました。原作から入って正解だったかもしれません。